保険と言っても、火災保険や地震保険の事ではなく、
今年の10月1日から施行される「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」
(以下、住宅瑕疵担保履行法)。
いまだに施工業者でも誤解している人がいるような状況で、
これから半年間、かなり混乱すると思う。
誤解の元は瑕疵保証と完成保証の混同。
そもそもなぜこのような瑕疵の保険が出来たかは想像通り「姉歯事件」のためで、
事件発覚後、建て替えや補修が必要な物件があるにもかかわらず、
販売元のフューザーが倒産してしまったため、
構造上の瑕疵を保証出来なくなってしまい、入居者にかなりの負担が掛かってしまった。
で、今後はこのようなことが無いようにと、
万が一、構造上の瑕疵が発見された後、建設会社やデベロッパーが倒産しても、
それを保険で賄おうと、予め保険に入る事を義務付ける法律が作られた。
保険料は通常の一戸建て住宅でおおよそ7~8万円。
これで2000万円くらいの瑕疵を保証してくれる。
しかし、これはあくまで引き渡し後の保険。
問題は、住宅が完成する前に・・・・、
例えば富士ハウスやアーバンエステートのように、
工事中の物件を多数抱えたまま倒産した場合、
例え、この瑕疵担保の保険に入っていても、
あくまで保険は引き渡し後。完成保証ではないので、保険は適用されない。
もちろん完成保証の保険も各保険法人に用意はされている。
しかし、現状、完成保証に入っている事業者はかなり少ない・・・。
そりゃ、自分が倒産することなんて考えたくはないのだろうが(苦笑)。
ちなみに保険法人は、
・(財)住宅保証機構
・住宅あんしん保証
・ハウスプラス住宅保証
・日本住宅保証検査機構
・ハウスジーメン
で、今後、10月以降に引き渡しの物件は全てこれらの保険のどこかに加入しないといけない。
保険の種類とその保険の役割は,
あんしん保証のサイトの「サービス一覧」に分かりやすく書いてある。
そして各保険法人のサイトで事業者を検索出来るようになっているが、
検索してみると、完成保証に入っている事業者はかなり少ない。
設計者としては、施主の代理人という立場なので、
事業者には完成保証まで入って欲しいというのはあるが、
当然その分コストに跳ね返ってくるわけで、
瑕疵の7~8万円以外にさらに保険料の支払いが発生する。
そのへんが悩みどころ。
実際、引き渡し後10年間で構造上の問題が出ることなんて通常有り得ない事で、
そんなことより、現在の建設業界の状況を見れば、
完成保証を義務付ける方がよっぽど優先順位が高いはず。