建築の外観で意外と存在感が出てしまうのが雨樋。
縦樋などは予め位置を整理しておかないと後ですごい事になる。
ボクはプランニングする時、屋根は極力シンプルに、
多くても2つの屋根、例えば切り妻屋根一つと片流れ屋根一つ、とかに、
納まるように計画しているので、雨樋もそれほど縦横無尽に走ったりはしないが、
それでもやはり存在感は出てくる。
色も悩ましく、外壁に合わせるか、屋根に合わせるか、その他金属部分に合わせるか・・・。
特に外壁が2色になる場合、どちらかの色に樋を合わせられると良いが、
合わせられないと、色合わせが難しくなる。
このK邸の場合、外壁は杉板とシルバーのガルバで、屋根も同色のシルバーなので、
その他の金属部分も含めて雨樋もシルバーで統一出来た。
建築の設計で大切なことは「統合」されているかどうか。
建築の素人でもなんとなく統合感があるかどうかは感じる事が出来る。
すごく頑張っているのは分かるけど、何となく・・・、という場合、だいたい統合感が無い。
住まいを設計する場合、施主とのコミュニケーションをとる事は大事で、
施主からの言葉に出てこない潜在的な要望を形や寸法に表すのが設計の仕事だと思うが、
この統合作業は100%設計者の責任だと思う。
施主の要望をただ聞いているだけでは統合された住まい、建築にはならないと思う。
じゃあ、統合感とは何か、と聞かれると・・・、具体的に説明するのは難しい(笑)。
色や形を合わせれば良いのか、という訳でもなく、設計者の判断そのもの。
設計者の頭の中に判断軸、価値軸が1本通っているかどうか。無いと設計がブレるのも道理。
K邸の雨樋はシンプルな半丸のガルバの樋。
最近は半丸の樋はあまり見掛けなくなったが、ボクはシンプルな半丸が好き。
集水器も小ぶりで良い。この現場までボクはこの樋を知らなかったが、
板金屋さんからの提案で採用。カラーバリエーションも多く、半丸以外の形状もある。
これからしばらくこの樋がヘビーローテーションになると思う。